新年を清々しく寿ぐために、お箸を新調されてはいかがでしょうか。
伝統的な技法を用いた丈夫でモダンなデザインの増子菜美さんのお箸をご紹介します。
マラスという硬くて耐久性に優れ、木目が細やかで目の詰まった天然木を木地に選び、余分な漆を布で拭きとる「拭き漆」という木目を活かした技法を使っています。
朱色の漆は、塗りたては落ち着いた色ですが、使用と共に少しずつ明るく発色します。
模様部分の光沢のある美しい黒色は、漆に炭を細かい粉にしたモノを定着させています。(『錫塗分け』『八角』のお箸には、使用されていません。)
使い始めは、わずかに炭の粉のザラザラとした感触がありますが、使用すると手で磨かれ、滑らかな手触りに変わります。
経年変化も楽しい、レトロモダンな愛着の湧くお箸です。
いずれのお箸も、漆を4回塗り重ね、丁寧に仕上げられています。
手に持った際の優しい感触や、箸先を口に入れた時の口当たりの良さも格別です。
《塗師 増子菜美さんの略歴》
福島県出身
女子美術大学短期学科卒業後
2010年岩手県八幡平市にて、安比塗りを四年間学ぶ
2014年には会津漆器技術後継者訓練校に入校し、蒔絵を学ぶ
2017年会津若松市内にて独立
《メッセージ》
現在は、夫と共に漆器作りに携わり、漆と向き合う毎日を過ごしています。
普段は問屋様からお仕事をいただいての制作が主ですが、年数回の展示会の開催も行っています。
伝統的な技法を使いながらも、モダンな毎日の暮らしに寄り添うような漆器づくりを心がけています。
COCON店主にとって、一番馴染みのある漆器は、会津塗りです。
観光で会津若松や喜多方を訪れた際に、箸置きや茶托、お盆や菓子鉢などを少しずつ買い求め、長く愛用しています。
会津塗りは、堅牢(丈夫)で美しく、そして、芸術品のような見事な細工や絵が施されたものから、おみやげ物のように手に取りやすいものまで広く作られています。いろいろなアイテムが揃っているので、選ぶ楽しさもあります。
そんな会津塗りの歴史を調べてみましたので、ご参考になさってください。
そして、会津方面にお出かけの際は、ぜひ、漆器にもご注目いただきたいと思います。
《会津塗りの歴史》
会津地方で漆器の生産が始まったのは、輪島や津軽より古く、室町時代と言われています。
会津は、漆塗りに必要な湿潤な盆地の気候と、豊かな森林資源に恵まれたことで、漆塗りが発展しました。
また、安土桃山時代に豊臣秀吉の命で、千利休の優れた弟子、利休七哲の一人 蒲生氏郷が会津藩主になったことが会津塗りの技術向上と発展に大きく影響しています。
漆器の産地滋賀県日野の領主だった蒲生氏郷は、会津に入る際に、生地師や塗師など、日野の職人を会津に招いて、高い技術力を会津に広めたそうです。
そして、江戸時代には、保科正之が藩主となったことで、漆の木の育成を奨励し、会津漆器を保護したことと、京都から蒔絵技術も伝わり、産業としてさらに発展し、長崎を通じて中国やオランダに輸出され、世界的にも評価されるようになります。
しかし、明治に入り、会津一帯は戊辰戦争で焼け野原となり、会津塗りも壊滅的な打撃を受しけてしまいます。
が、1872年のパリ万博に出品されるなど明治の中期には、再び日本有数の漆器の産地として復興します。
大正時代になると、機械化に成功し大衆的な漆器の生産を開始し、また同時に、高度な漆塗りの技術で高級漆器の生産も行われ、会津塗りの需要は高まりました。
そして、現在は、伝統技術を受け継ぎながら、新しいデザインや用途を加え、
インテリアや生活雑貨としての役割も果たして人気を博しています。