無地のうつわが流行していますが、先人たちの祈りや願い、そして一瞬の美しい自然のカタチをデザインした文様について知り、身近に取り入れていただけたら、暮らしがもっと豊かで愛しいモノになるかと思います。文様の話に、ぜひ、お付き合いください。
樹齢の長さから、吉祥の木とされて愛されている松は、さまざまなデザインに加工されて、今でも愛用されている文様です。
古代中国では風雪に耐え、一年中緑色を保つことから長寿の象徴とされ、理想郷の蓬莱山(海中にある不老不死の仙人が住み、俗人は近づけないとされる山)に生えると信じられていたことから、吉祥をあらわす木とされました。
日本でも、風雪に耐えながら四季を通じて落葉せず、緑色を変えないので「常盤木(ときわぎ)」と呼ばれ、不老長寿の象徴として大切にされてきました。
そして、今でもおめでたい木として、お正月に門松を立てて、年神様をお迎えする習わしが、受け継がれています。
松を用いたデザインが使われるようになったのは、平安から江戸時代にかけてで、衣服の意匠が多様になったことによるそうです。
格調高い文様、松は、冬に限らず一年中用いることのできる便利な文様でもあるようです。
厳しい寒さの中で、いち早く香り高い花を咲かせ、実をたくさんつける姿は、人間の理想の生き方と重なり、梅文様は忍耐力や生命力、子孫繁栄の象徴とされ工芸品や衣服、建築物などに幅広く使用されるようになりました。
また、「梅」と「産め」が同じ音なので、子宝を授かるご利益があるとも、安産のご利益があるともいわれているそうです。
COCONのうつわにも、梅の文様や、梅型のモノが多くあります。昔から日本人に愛され、生活に密着していたことを実感します。
Wi‐Fiのマークに似ているとネットで話題になったことがありましたが、三重の半円をうろこ状に重ねた幾何学模様の青海波。
古代ペルシャからシルクロードを経て中国に渡り、日本には飛鳥時代に伝わって、江戸時代に普及し、現代に至っています(ロマンを感じますよね)。
無限に広がる穏やかな波を表している青海波。
未来永劫、穏やかな毎日が続きますようにという願いが込められているそうです。
自粛生活を経験した今、痛感する願いですね。ますます大切にしたい文様です。